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レポート2018.2.25

大阪イノベーションハブにて、データサイエンスセミナーを開催しました。

2月18日(日)大阪イノベーションハブで、データサイエンスセミナー&交流会を開催しました。

神戸大学 数理・データサイエンスセンターの齋藤政彦氏、小澤誠一氏、そして科学技術イノベーション研究科の忽那憲治氏の三氏にご登壇いただき、それぞれデータサイエンス分野における神戸大学の取り組みや人工知能の基礎と応用、イノベーション理論を踏まえた戦略構築の必要性などについてご講演いただきました。

日曜の午後にも関わらず、関西各地から、企業にお勤めの方や経営者、エンジニア、学生の方など100名超が参加され、会場は大盛況となりました。参加者の皆さんのAIやIoT、データサイエンス分野に対する関心の高さがうかがえます。

最初に登壇されたのは齋藤政彦氏です。齋藤氏は神戸大学の副学長であり、昨年12月に設置された数理・データサイエンスセンターのセンター長にも就任されました。当日は、数理・データサイエンスセンターや関西地区でのデータサイエンス人材の育成の取り組みについて紹介されました。

日本は米国などに比べ、データサイエンス人材が圧倒的に不足しており、文科省では、今後国内の教養課程の学生50万人に対してプログラミング・統計学教育を施していくことを目標としているそうです。
その中で神戸大学も、大阪大学を代表機関とする「データ関連人材育成関西地区コンソーシアム」に京都大学、滋賀大学、和歌山大学、奈良先端科学技術大学院大学など複数の大学、研究機関とともに参画しています。

神戸大学では、文理融合の総合大学として数理・データサイエンスセンターにさまざまな分野のトップ研究者を集め、今後データ関連人材の育成・研究に注力し、これまでの”大学は敷居が高い”というイメージを払拭し、どんどん外に出て行って産学連携を深めていく意気込みであるというメッセージを、齋藤氏から参加者に向けて熱く伝えられました。

続いては、忽那(くつな)憲治氏。忽那氏は、神戸大学大学院で、科学技術イノベーション研究科の副研究科長をされながら、複数の企業の取締役も兼任されています。

忽那氏のご講演では、イノベーションは日本では”技術革新”と翻訳され、それが誤ったイメージを流布し、日本が得意とする技術やものづくりをベースに研究開発を進めていく傾向があるが、イノベーションにはブレークスルー(=発明・発見)と市場創造(商業化)の両者が必要であり、とりわけ後者の”商業化”との高いギャップを乗り越える必要性が見過ごされがちである点が強調されました。
そのギャップを埋めるための代表的なイノベーション理論として、シュムペーターの新結合、チェスブロウのオープン・イノベーション、クリステンセンの破壊的イノベーションといった3つの概念をご紹介いただきました。

オープン・イノベーション理論の中で、”社外の知識に対して社内で蓄積した知識と同等の重要性を認めること”という指摘を強調されている点がとりわけ印象的でした。確かに大企業が社員10名に満たないベンチャー企業の知識・ノウハウに同等の価値を認めるのはなかなか難しいでしょう。

kansAI0.6でも、既存企業を対象とした社内プロジェクト型と、これからビジネスを始める方を対象としたスタートアップ型のどちらの方のチャレンジも募集しております。両者がお互いの知識を同等に認め合い、オープン・イノベーションにつながる仕組み作りに繋がることを企図しています。

最後は小澤誠一氏です。小澤氏は神戸大学の教授であり、工学研究科から今回新たに設置された数理・データサイエンスセンターに籍を移され、データサイエンステクノロジーの最前線で研究をされています。当日は、人工知能に関する研究の変遷や、ご自身が進められている研究の一端を紹介してくださりました。

人工知能研究の歴史は長く、ディープラーニングの概念は40年以上も前から既に存在していました。コンピュータの性能の飛躍的向上、アルゴリズムの研究の進歩によって、ディープラーニングがビジネスに応用できるようになったのは、ここ10年のことです。

最近では、ポイズニングと言われる、人間以上の高い精度を誇る画像判定のAIエンジンに、意図的にノイズを混入することで人間であれば目で見てすぐに分かる”パンダ”の画像を”テナガザル”と誤判定させるような意図的な妨害行為が行われる事例も出てきているとのこと。小澤先生の研究室では、こうした分野でのセキュリティ対策の共同研究にも取り組まれているそうです。

人工知能ブームといわれる時代の流れは、過去の膨大な研究のもとに成り立っています。小澤氏は、AIを使ったイノベーションの議論には、地に足をついた実現可能な技術のもとで行われることが重要であるとアドバイスをしてくださりました。

また、セミナー終了後の交流会では、エンジニアや経営者の方々をはじめ、多くの方が参加され、それぞれの領域を超えて活発な意見交換がなされていました。企業規模の大小や業種、専攻や志の異なる色々な方が情報を交換して新たな気づきやアイデアを得る場として、ぜひ4月からスタートするkansAI0.6を活用していただきたいと思います。

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